図3-2 知識活用問題① この問題では,朝食を栄養バランスのよいものにするための方法を考えさせた。また,その方法に決めた理由を記述させることで,「何となく」決めるのではなく,自分なりの理由をもった上で自己決定するというプロセスを踏ませた。その際に活用するのが知識定着問題で取り扱った栄養に関する基本的な知識である。紙面上ではあるが,学 第3章 実践について 88 図3-1 知識定着問題 第1節 家庭科授業 研究協力校2校共に普通学級の1~3年家庭科授業において実践を行った。実習などの時間が確保できない場合には実践を見送り,授業内容に支障をきたさない範囲で取り組んだ。 (1)知識定着問題の実践 食べるものを選択する際に必要となる基本的な知識の定着を目指し,知識定着問題に取り組んだ。食べるものを「何となく」選択するのではなく,栄養に関する知識を根拠に栄養バランスを考え,選択していくことが心身の健康に繋がると考える。 ここでは主に小学校で学習する赤・緑・黄の食品分類や五大栄養素の種類と働きについて取扱い,中学校での学習にも繋がるようにした。 取組の始めでは,多くの生徒が小学校での学習内容を覚えておらず,苦戦している様子が見られた。実践時の家庭科授業で食生活の単元を学習している学年は比較的すらすらと解答していたが,食品分類については赤と黄の食品が混在している生徒が多く見られた。五大栄養素については,栄養素名は浮かぶものの,それぞれの働きと結び付いておらず,単語として記憶しているのみという生徒が多く見られた。五大栄養素についての知識定着問題の内容を図3-1に示す。 図3-1の実践を行った際,生徒の多くが「小学校でやったのは覚えているけど,詳しいことは忘れjp/18chousakekkahoukoku/report/data/18qn.pdf p.104 2020.3.1 (14)厚生労働省「平成29年国民栄養・健康調査結果の概要」 2018.9.11 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/0 00351576.pdf p.21 2020.3.1 中学校 食育 12 た」という状態であったが,教科書を見ながら問題に取り組み,学習したことを思い出している様子が見られた。また,前時に赤・緑・黄の食品分類に取り組んでいるため,その内容と今回の内容を関連させて取り組んでいる様子が見られた。例えば,五大栄養素の一つであるたんぱく質の働きを考える際に,ただ単に「たんぱく質は体をつくる働き」と覚えるのではなく,「たんぱく質は肉や魚に多く含まれる→肉や魚は赤の食品→赤の食品は筋肉や臓器をつくる→だからたんぱく質は『体をつくる働き』をする」というように考えていた。このようにただ単に暗記するだけではなく,内容をしっかりと理解することも知識の定着に繋がると考える。 (2)知識活用問題の実践 食選力向上に繋がる基本的な知識を日常生活で活用する力を身に付けさせるために,知識活用問題に取り組んだ。 図3-2は授業で取り組んだ知識活用問題である。 Ⅰ Ⅱ
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