図3-9 社会科 牛肉とトウモロコシの選択 〈1回目〉 〈2回目〉 図3-10 社会科 ワークシート 生徒の記述 この生徒は1回目と2回目で選択は変わらなかった。しかし,なぜそれを選択したかという理由に変化が見られた。2回目の選択では「安全性」「価格」という視点で考えていることが分かる。 普段の生活でも,同じ野菜で産地や値段が異なるものがあった場合,どちらにしようか迷うことがあるだろう。最終的には優先順位を決めて,選択する必要があるが,このように迷うことが中学生にとって必要なことであると考える。先述したチョコレートの選択と同様に,様々な視点で考えているからこそ,迷うのではないだろうか。今ま本時の学習を踏まえ,2回目の選択をする際,「安全性」について考えている生徒が多く見られた。生徒は北アメリカ州の農業の特色を知り,その安全性について疑問をもっていた。アメリカ産のもの全てに農薬が使用されていたり,遺伝子を組み換えていたりするわけではないが,効率化を図り,大量生産をしているアメリカの農業形態を考える中で,この問題点にたどり着いた。しかし,そのおかげで私たちは安い値段で購入することができているということも考えると,一概に問題点とは言い切れない様子であった。また,国産の農作物についても,「本当に安全なのか」という疑問を抱いている様子も見られた。図3-10に生徒が記述したワークシートを示す。 中学校 食育 13 では考えていなかった視点や知識が増えることで選択をすることが難しくなっていた様子が見られた。 まとめでは指導者から,社会科で学習する内容と日常生活にはつながりがあることや,世界の現状を正しく知った上で選択することの重要性に触れ,今後行う日本の学習にもつなげていくことを生徒へ伝えた。そして,これまでの授業で,生徒が自分なりの根拠をもった選択をしていた姿や,様々なことを考え,悩んでいた姿を価値付けた。 第2節 教科の授業以外の場面での実践 (1)生徒会活動に食育の視点を取り入れる 生徒会活動では,従来行われていた取組に食育の視点を取り入れた実践を行った。B校では,保健委員会の取組の一つとして「ノーメディアデー」という日を設定し,スマートフォンなどのメディア視聴時間を見直すという取組が行われていた。この取組と,就寝及び起床時刻の調査,朝食喫食調査を関連させた取組を行った。 第2章第2節(1)(p.6)で示した体健室調査の結果より,生活習慣の見直しと朝食喫食を推進する取組を関連させることは効果的であると考えた。従来はそれぞれが独立した取組であったが,生徒の生活の中で考えると,一連の行動になってくるだろう。 例えば,「寝る前にスマートフォンで動画を長時間視聴→就寝時刻が遅くなる→起床時刻が遅くなる→時間がなくなり朝食を食べずに登校」というようなことが考えられる。この生徒が朝食を食べていない理由としては時間がないことが挙げられる。それを解決するためには,いつもより早く起き,朝食を食べるための時間を確保する必要がある。そしていつもより早く起きるには就寝時刻を早くすること,帰宅後の過ごし方を見直すことが必要となる。 このように考えると,朝食を食べるか食べないかということだけではなく,生活習慣に関わることを見直すことにつながってくる。これらを踏まえ,朝食を含めた生活習慣に関わる調査を行うこととした。 取組期間は令和2年11月30日から12月4日の五日間とした。五日間を通して1枚のシートを使用し,最終日に振り返りを行った。次ページの図3-11に生徒が使用したシートを示す。 43
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