最終稿【大嶋】
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○各教科等の取組 生き方探究パスポート「あゆみ」での振り返りを充実したものにするためには,各教科等での振り返りの蓄積が大切である。各教科等の実践の中で,自分の成長を実感し,振り返りシートに記述させる。振り返りを,次の活動に生かすことで,更なる意欲を引き出すことができる。つまり,大きなPDCAサイクルのDの中に,小さなPDCAサイクルを繰り返すことで,より充実した成長の振り返りにつながると考えられる。そこで,昨年度は学校行事のみで行っていた実践を,今年度は各教科等においても,PDCAサイクルを意識した実践を行い,学びを蓄積していくことにした。 (2)スモール・ステップの目標設定 自分の目標を設定し,達成することで自己効力感が高まる。1時間ごとに自分に合った目標を立て,達成できるようにする。そのために,スモール・ステップの目標を考え,学びの方法を自己選択し,小さな成功を積み重ねることが大切である。この自分に合った目標とは,今の自分が少し頑張ればできそうな目標である。この目標を設定するためには,初めに学びのプロセスを示し,自分に合った課題を見つけ,それに応じた目標を考えて実践するようにする。最後には,自分で考えて目標設定できるようにする。 (3)振り返りの視点の充実 児童は,教科の中で付けたい力を発揮していると同時に,キャリア教育で付けたい力である基礎的・汎用的能力についても発揮している場面が多く見られる。 例えば,国語科の授業では,相手の意見を聞き,それを自らの意見に取り入れ,考えを深めていくことがある。これはキャリア教育でねらう人間関係・社会形成能力が発揮されている場面である。しかし,この力の発揮については,児童が意識して活動していなかったり,振り返っていなかったりすることが多い。 そこで,学習中に発揮していたキャリア教育で付けたい力については,指導者が価値付けを行い,児童に示すことで振り返りの視点が豊かになるようにする。そのことで,児童は活動中にも,自分自身の成長に気付き,振り返ることができると考える。 加えて,指導者が価値付けた力や児童が見つけた力をキーワード化し,「キャリア・レンジャー」として示す。図2-4のようにキャリア教育で付けたい力を可視化し,具体的な児童の姿と結び付けることで,児童は「○○の力は,こういう姿なのか」と意識して取り組むことができるようになると考える。そして,各教科等の様々な場面で力を発揮していた場合,指導者は「キャリア・レンジャー」を提示し,教科横断的につなげることで汎用的になると考えている。 さらに,キャリア教育で付けたい力を意識することができるようになれば,学習の初めに本時で発揮させたい力を児童に示し,教科のめあてとキャリア教育で付けたい力双方のめあてを考えさせるようにする。そうすることで,キャリア教育で付けたい力についても学習中に意識して取り組むことができると考えられる。 第2節 自己有用感を高める 自己肯定感を高める上で,周りの人から自己の成長を認めてもらうことはとても有効である。小学生段階での周りの人とは,保護者はもちろん,学級の友だちや指導者である。この周りの人からの言葉がけの取組を有効に活用し,児童に自己有用感を感じさせたいと考えた。 (1)指導者からの肯定的な言葉がけ 大人からの肯定的な言葉がけについては,児童の身近な存在である指導者からの言葉がけに注目して実践を行う。児童の頑張りや行動,クラスへの貢献などに対して,指導者が対話的に価値付けるのである。 また,肯定的な言葉がけは,決して結果を褒めるだけではなく,児童の学ぶ過程での努力を価値付けることが大切である。児童が,自分の頑張りに気付けるように,学習中の活動に注目して言葉をかける。大人からの肯定的な言葉がけが,次への挑戦や意欲へとつながるように留意したい。 図2-4 「キャリア・レンジャー」例 小学校 キャリア教育 6 58

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