最終稿【大嶋】
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表4-4のアンケート結果でも,自分のよさに対する意識に変化があったことがわかった。実践前と比べて,肯定的な回答が増えている。実践を通して,まだ自分のよいところについて,はっきりわかっていないものの,自分のよいところはこんなところかなと気付き始めているのではないだろうか。 アンケート結果からわかるように,少しではあるが,実践前と比べて,肯定的な回答が増えたことがわかる。実際に生き方探究パスポート「あゆみ」の記述を見てみると,自分の成長を振り返っ表4-3 「自分には得意なことや長所がありますか」 のアンケート結果 表4-4 「自分にはよいところがあると思いますか」 のアンケート結果 図4-5 5年D児「生き方探究パスポート『あゆみ』」 70 結果からわかるように,友だちからや先生からの肯定的な言葉は,自分の成長を実感するために効果があることがわかる。加えて,このアンケートでは,もらった言葉の中で「どのような言葉が成長を実感することにつながったか」についても尋ねてみたところ,「〇〇頑張っているね」「いっぱい練習していてすごいね」「その調子で頑張ろう」などの言葉が多かった。 その理由として,自分のめあてとして頑張っていることを認めてもらう言葉であることや,自分が少し成長していると感じることができたこと,自分がたくさん練習していることに気付いてくれたこと,応援されているようで嬉しかったことなどがあった。これらのことからわかるように,周りの人から成長を認めてもらうことで,更に自分の成長を実感することができている。 指導者は児童の活動の結果だけを見取り,価値付けを行うのではなく,児童の活動の過程に目を向けて成長を見取り,価値付けを行うことが大切である。 体育科や国語科書写の実践では,自己選択ボードを活用し,自分のめあてを選択して,意思表示を行った。意思表示があることで,児童が今,何をめあてとして頑張ろうとしているのかを,指導者が把握することができた。そのことで,活動の過程での頑張りを価値付けることができたり,児童の小さな成長にも気付いたりすることができるようになった。 〇自己肯定感の高まり 「自分には得意なことや長所がありますか」「自分にはよいところがあると思いますか」の項目に対する回答結果は表4-3のとおりであった。なお,このアンケートは実践前の6月,実践後の12月に実施した。 小学校 キャリア教育 18 ている姿が多く見られた。この成長が自分の自信となり,得意なことや長所として感じることができたと考える。 ここで,アンケートの結果が大きく変化した児童を取り上げ,自己肯定感の高まりについて述べていく。5年生D児は,実践前のアンケートでは,両項目で否定的な回答をしていたが,実践を終えてのアンケートでは,肯定的な回答へと変化が見られた。 この児童にインタビューをすると,「自分のいいところは,1年間でたくさん増えた。(体育科や他の教科の振り返りシートを見せながら)特に,苦手だったことにも挑戦できた。」と話をしていた。

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