① 活動中の指導者の声かけ このように「価値付け」「共有」「可視化」を繰り返し行うことで,児童にキャリア教育で付けたい力の視点が定着していった。 第2節 自己有用感を高める実践内容 (1)指導者からの肯定的な言葉がけの実践 指導者からの肯定的な言葉がけの取組では,①活動中の声かけ②振り返りへのコメントの二つの場面で実践を行った。その実践について,児童の様子等を踏まえ述べていく。 体育科や国語科書写の実践中に,児童に向けて肯定的な言葉がけを行った。(P.7図2-5参照)その視点としては,肯定的な言葉がけシートの視点を活用し,実践を行った。指導者は,様々な場面で声かけを行っていた。 以下,肯定的な言葉がけが行われた場面について紹介する。 〇児童が頑張っている場面 活動中,なりたい自分に向けて,一生懸命頑張っている姿やあきらめずに努力している姿が見られた。その行動に対して,指導者は言葉をかけて価値付けを行った。 その際,指導者は「すごく〇〇を頑張っているね」「何回も練習していてすごいね」など,児童の頑張りを価値付けた。 前向きレンジャー 助け合いレンジャー 66 図3-15 他の教科でキャリアレンジャーを活用する様子 これらの活動を行うことで,振り返りの際に,教科のねらいに関することだけではなく,キャリア教育で付けたい力の視点でも振り返る姿が見られ,活動中の多くの成長を見つけることができた。 T:どんなことに挑戦しているの。 C:技は後転で,めあては勢いよくまわること T:やってみて。 C:(やってみるが失敗をする。) T:(カードを見せながら)すごい。前と比べて速く回れているね。成長しているね。 次は,マットをしっかり押すところを頑張ろうね。 ただ,声かけをするだけではなく,まず,児童が何を頑張ろうとしているのか,めあてを確認した。次に,下線部のように,前回までの姿と比べ,技の部分的な成長に価値付けを行った。最後には,次の活動への見通しをもたせるように声かけをしている。このように,失敗に目を向けさせるのではなく,前回と比べて成長している部分に目を向けさせ,次への頑張り,挑戦へとつなげる言葉がけを行った。 〇児童が成長を実感している場面 体育科「マット運動」では,児童が挑戦している技ができるようになり,成長を実感している場面があった。その場面こそ価値付けを行うことが大切である。 小学校 キャリア教育 14 このように,なりたい自分に向かって頑張っている姿を見つけ価値付けを行うことで,児童は自分の頑張りを認めてもらったことが自信となり,その後の活動に意欲的に取り組む様子が見られた。 〇児童が悩んでいる場面 めあての達成に向けて失敗を繰り返し,悩みながら練習を行っている児童の姿も見られた(図3-16)。その際にも,指導者は児童に対して,肯定的な言葉がけを行った。 図3-16 指導者が悩んでいる子に声かけをしている様子 指導者が声かけをしているときの会話を以下に示す。
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