最終稿【大嶋】
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イ A校・B校 第6学年「思いやり」(全3時間) における実践から この単元では,「思いやり」を教材として,「漢字と平仮名」のつり合いと,一文字の中での「点画のつながり」を意識した書き方を学ぶ。前学年の「あこがれ」で学習した,次の線へとつながるような気持ちで穂先を動かしていく書き方を想起させ,最初に「思」の「心」の部分について「点画のつながり」を指導する。また,「文字の大きさ」は,外形の違いによって異なってくる。紙面につり合いよく収めるためには,平仮名や画数の少ない漢字は小さく書くなど,紙面と文字相互の相対的な大きさを考えて書くことが大切である。そして,文字の中心を行の中心に揃えながら,点画のゆずり合いなども意識する必要がある。これらの点に留意し,既習の知識も生かしながら学習を進めるようにした。 加えて,キャリア教育で付けたい力についても注目させたい。この書写の活動を通して,「なりたい自分に向けて,計画を立てて解決する」や「友だちと話し合い,解決する」「自分のよさや課題を見つけ,活動へ生かす」「自分の課題に向けて努力する,挑戦する」ことなど,キャリア教育で付けたい力についても発揮される場面があると考えられる。これらの内容についても意識させながら実践を進めた。 表3-3に単元の全体の流れを示す。 まず,今の自分の力を知るために,試書を行った。その後,本時の手本と比べて,自分のよいと表3-3 国語科書写「思いやり」の全体の流れ これらの活動を通じて,PDCAサイクルを意識し,キャリア教育で付けたい力を発揮しながら,学習を進めた。 〇スモール・ステップの目標設定 ころや頑張りたいことを考え,試書やお手本にペンで書き込ませた(図3-6)。この活動の目的は,単元を通しての自分に合っためあてを考えることである。 図3-6 国語科書写で自分の課題を考える様子 比較した後に,本単元での指導事項をおさえ,単元を通してなりたい自分について考えた。試書やお手本に書いたメモをもとに,課題を考え,本時はどのようなことを意識して書くのか,1時間ごとに自分に合っためあてを決めた。 漠然と課題を提示され,書く活動を行うのではなく,このように試書(今の自分)と手本を比較し,見つけた課題からめあてを立てることで,なりたい姿に向けての計画が立てやすくなると考えられる。また,それぞれが見つけた頑張りたいことが,自分に合っためあてとなり,スモール・ステップの目標を設定することができた。 〇自己選択の場の設定 自分に合っためあての達成に向けて,どんな練習を行えばよいかを考える場を設定し,練習方法の自己選択を行った。図3-7のように課題に応じた練習シートを数種類準備した。これらを活用し,自分のめあてに合った練習シートを選択して練習を行うようにした。児童は,自分の課題を解決するために計画を立て,練習に取り組んだ。 小学校 キャリア教育 11 ポイントとなるところを書き込む 63

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