□内容的な知識を関連付ける際は,関連付いた内容的 □比較する際は,同じ単元内の異なる事象を比べるの □比較・関連付けによって得た知識は「この地域だけ □比較して見いだされた共通項は,見えるーぺを用い □指導者による指示・発問・説明やワークシートの記 □比較・関連付けによって得た知識を,他地域や架空120 一つ目は,拡散する生徒の予想をどのように指導すればよいかということである。生徒たちの予想について,思考過程を価値付けることに力点を置くとはいえ,どれが正解で不正解かという観点で見たときの扱いについての悩みが語られた。それは事実といえないのではないかと思われる予想をそのままにしておいてもよいのか,予想を裏付ける根拠となる資料が教科書や資料集にはないものの,確かにそれも正解だろうといえるものはどうすればよいのかという困りである。 本研究では,見方・考え方や生きて働く知識を方法的な知識と定義し,その知識の習得と発揮に主眼をおいたので,予想を資料などから検証するという学習活動,つまり資料を読み取る技能や必要な情報を取捨選択する技能に関する手だてや方向性を示していない。 資料を読み取る技能や取捨選択する技能は,学んだことが社会でも役に立つという意識を高める ことにも関わりが深く,今後の研究対象になる可能性もあることを踏まえ,後掲する第4章第2節にその手だての方向性を今後の展望として示す。 予想という学習活動に関する指導上の二つ目の困りは,予想するための前提となる内容的な知識が少ないことをどうすればよいかということである。この困りは,先に述べた課題1の内容的な知識の習得に関わるものである。この課題についても,その手だての方向性を今後の展望において示す。 課題3:内容的な知識を方法的な知識にする方策 本研究では,見方・考え方と生きて働く知識を方法的な知識と定義している。この方法的な知識は,単元固有の内容的な知識同士を関連付けたり,比べたりして見いだされるものであると考えていることは第2章第2節(1)(2)で述べたとおりである。 内容的な知識をもとに方法的な知識の習得につなげるために,ベン図やウェビングマップという思考ツールを用いて実践を重ねた。 しかしそうした実践の中には,内容的な知識同士の関連付けや比較という学習活動が方法的な知識の習得につながらなかったケースも見られた。こうした事例に共通していたのは,関連付けたり比較したりする活動そのものが,授業の目的になっていたことである。 第3章第1節(2)に示した実践は,そうした課題の改善に取り組んだ一例である。 □比較,関連付けを行うその授業時間だけで,内容的 な知識から方法的な知識の習得へ無理につなげよう と考えないこと な知識の中で,方法的な知識の習得につながる箇所 を,見えるーぺを用いて価値付けること ではなく,単元Aの事象と単元Bの事象を比べて共 通性を見いだすこと ※同じ単元内の異なる事象を比べて共通性を見いだす 活動は,その地域の特色をあぶり出すためには有効。 て価値付けること でいえることか,他の地域でもいえそうなことか」 という追発問を必要に応じて投げかけること 地域の事象,未知の事象を対象として,「発揮」する機会を必ず確保すること 述などは,必要に応じて地域が特定される固有名詞 を主語にする場合と,一般名詞を主語にする場合を 使い分けること 中学校 教科指導 22 実践を通じて,内容的な知識を方法的な知識の習得につなげるには,次のような意識をもつことや手だてを講じる必要があると現段階では考えている。(実践が地理的分野であったため,分野特有のものもある) 第2節 今後の展望 実践における生徒実態や指導者の困りなどから,次の三点の課題を検討・克服していく必要があると感じている。 ・資質・能力の高まりについて ・内容的な知識の習得について ・予想を検証する際の指導について ・ (1)資質・能力の高まりについて 実践後の生徒アンケートでは,社会科に対する教科観について方法的な知識の習得・発揮に関わる意見が多く見られた。また,学習していることが社会
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