図4-2 事後アンケート② フ:比べたりつなげたりすることで覚えやすくなった ので新しいクラスとかになったときとかに顔と名 前がはやく覚えられそう ヘ:虫めがねで色々な視点で考えられるようになって 情報を処理するときに一つの情報に対してどうい う意味があったり,他人の気持ちが分かる ホ:今,部活でみんなに指示とかをだすことが多いけ ど,いろんな視点で考えてみんなにとって一番い い方法はどれかとか考える時に役立ちそう マ:先生がつくっている虫めがね🔍で交流のときとか でも他の人の考えの視点がわかるようになってき たので大人になってもいろんな場面で役立ちそう メ:将来,分からないことがあったとしても自分の力 モ:旅行でいろんなところ行ったときにあ~ここは これが有名やったなぁ~とか盛り上がれそう ヤ:旅行に行くときに気候とか知っていたら持ってい ユ:どこに引っ越したり出張にいったりするかわから ヨ:色んな知識がついたので,これは常識やろという ネ:仕事で資料などを見る時,1つの視点から考える のではなくて,他の視点からの考えをもってみた りする時 ノ:お客さんの立場にたって考えたり,作る側の立場 ハ:少ない情報からたくさんの考えをだすとき ヒ:虫めがねを使うことで色々な視点や考えかたがで きるようになって,何度もやっていくうちに虫め がねを見なくても自分で視点を考えてつなげてい けるようになったので,そういうことが使えそう なり,理解や記憶の手助けになっていることを示すものである。新たな可能性を示すものとして今後の研究でも注目していきたい。 ② 授業で身に付けているどんなことが,どんな 場面で社会に出てから役に立つと思いますか になったりすること ミ:なにか問題が発生したときに,いろんな角度から 原因を予想できそう ム:「なぜ〇〇が盛んなのか」という考え方を「〇〇 を盛んにするにはどうしたらいいか」という考え 方に変え,自分の仕事をうまくするためにはどう したらいいか考えられる で答えを出すことができると思う くもののミスが少なくなるので気候は役立つ ないので,地域の特徴を知っておくと役立つ ことを聞かれたとき 課題1:方法的な知識を発揮する力の育成 質問項目①②の回答からは課題も感じられた。社会科の教科観を尋ねた①の回答と,学んでいることと社会で生きていくこととの接点を尋ねた②の回答傾向を比べると,次のような違いが確認できた。 ・質問① 社会科の教科観について(図4-1) つまり,社会科は方法的な知識を学ぶ教科だという認識をもつ生徒は増加したが,その生徒の中には,「(とは言っても)役立つのは内容的な知識」であると認識している生徒もいるということである。「それぞれの地域の特産品を知っていれば旅行の時に役立つ」というように,自分の生活シーンで,内容的な知識が役立つ場合はあり,こうした認識を否定するのではない。 しかし, 例えば図4-2の内容的な知識の発揮に関する「ヨ」の回答(色んな知識がついたので,これは常識やろということを聞かれたときに役立つ)と,方法的な知識の発揮に関する「ミ」の回答(なにか問題が発生したときにいろんな角度から原因を予想できそう)とでは,役立つ機会に大きな違いがある。 本研究は,学習していることが役に立つという意識を高めることを目標に進めている。しかしそれを目標にしているのは,その先にある目的を達成するための手段となり得ると考えるからである。 本稿冒頭にも記したように,生徒には将来,授業で身に付けたことを様々な場面で発揮して,未来を主体的に生き抜いてほしい。 実践を通して,方法的な知識を習得・発揮して問題解決できるようになり,その有効性を実感できれば,未来を生きていく上で必要な力を想像す「ヌ」の回答に代表されるような内容的な知識に基 づく回答に比べ,「キ」の回答に代表されるよう な方法的な知識に基づく回答が圧倒的に多い。 ・質問② 学習と実生活の接点について(図4-2) 「ヨ」の回答に代表されるような内容的な知識に基 づく回答に比べ,「ミ」の回答に代表されるよう な方法的な知識に基づく回答が多かったものの, 質問①ほどの差はない。 質問②では図4-2の「モ」以降の回答のように,授業で身に付けていることの中でも,内容的な知識が社会では役に立つ場合があると感じている生徒も少なくなかったのである。 中学校 教科指導 19 117
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