最終稿【藤本】
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図3-16 中国・四国地方の問題例 図3-14 北海道地方が食の宝庫である理由の予想と価値付け 114 見えるーぺを用いて価値付けていた(図3-14)。 海に面していて 土地が広くて 魚介類が豊富 農地がある 自然豊かで食べ 寒いので酪農 られる動物も多い に向いている ロシアなどの アイヌ民族の 外国にも近い 伝統料理 下の生徒の記述も,先ほどと同様,12月実施のアンケートのものである。 図3-15 12月実施の生徒アンケート 記述中の〇〇にどんなことが入るのか気になり,尋ねると,この生徒は「例えばどの辺りに多いとか少ないとか,作る人や買う人とか,密度とか」と答えてくれた。 予想とその価値付けの繰り返しが,生徒の中で,分布や密度に着目して考えるという見方や,人口には消費者や生産者の側面があるというような他の場面でも使える生きて働く知識,すなわち方法的な知識の習得・発揮につながり出していることを実感できた。 (2)ペーパーテストを通して 作問にあたっては,第2章第2節(2)に示したチェック項目を参考にしつつ,テストを通して生徒の力を見取るという意識もさることながら, 「授業で大切にしなければいけないのはこういうところなのか」という自覚を促すことを意識して取り組んだ。 実践例① 中国・四国地方 方法的な知識の習得を意識した授業実践がほぼない中で定期テストの時期を迎えた。 そこで今回の出題を,方法的な知識を発揮できるかというよりも,指導者と生徒たちの間で,学習していることの意味を共有するきっかけにすることを主眼にして作成した。 中学校 教科指導 16 図3-16の問題は,中国・四国地方で学習したことを架空の事象に当てはめて考えることを通して,学習したことを中国・四国地方だけの事象という内容的な知識としての認識にとどめるのではなく,別の事象にも当てはめて考えることができるような方法的な知識として認識できるようにすることを意図した。 以下は,テスト返却後の二人の生徒の振り返りである。 図3-17 テスト後の振り返り こちらの意図が全て伝わったという実感はまだまだ得られかったものの,ペーパーテストが生徒たちに与える影響の強さを改めて感じることができた。また,これからの授業で大切にする点が指導者と生徒の間で共有できたことにも,テストの有効性が感じられた。

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